下水道のその先を見てきたレポート

 さいたま市に住む人が使った水は、下水道を通って下水処理場(水循環センター)に集められます。さいたま市の大部分の下水を処理している戸田市の荒川水循環センターに行ってみました。

 

ここでは、毎日約180万人分、約60万㎥もの下水を受け入れて、半日ほどかけて、大きなごみを取り除いた後、微生物に水の汚れを食べてもらってきれいにし、再び川に流しています。

 

 

 左が下水そのままの状態で、微生物が食べて、底に沈んで、きれいになったお水

私たちが毎日の暮らしの中で、疑問に思っていることを聞いてみました!

 

Q アクリルたわしやメラミンスポンジを使うと小さな破片(マイクロプラスチック)が出てしまって気になります。どの程度取り除けるのですか?

 

 A マイクロプラスチックの調査によると、一般的に0.1㎜以上のごみは通常の下水処理で除去できているようです。

 

 

 採取されたマイクロプラスチックの破片

洋服の繊維のような細かいものは大きなごみや汚泥などにくっつくことで、一定程度は除去できているそうです。マイクロプラスチックについては、まだ明らかになっていないこともありますが、公園や河川に捨てられたお菓子の袋などが紫外線などによってバラバラに小さくなって川から海へ流れていくことのほうが大きな問題と感じました。

Q キッチンのシンクに、生ごみを粉砕して下水に流すディスポーザーを付けたマンションが増えています。粉砕された生ごみが下水‎に悪いことはありませんか?

 

A 埼玉県の流域下水道では、ディスポーザー単体の設置は認められていません。排水処理施設もセットでないと設置できません。きちんと設置された設備をきちんと使っているなら問題ないそうです。

 

 

基本的に、下水道は水を流すところで、ごみを流すところではありません。食べ残しなどはごみ箱へ。油は下水管を詰まらせる原因にもなるので、油料理をした後のフライパンなどはサッと拭いてから洗いましょう。

 

下水の汚泥には植物の栄養素となるリンや窒素が豊富に含まれるため、自治体によっては肥料としてリサイクルされるそうです。状況によっては、ごみを資源ととらえることもできる、ということですね。

 

高齢社会では、水分を含んだ生ごみは重くて捨てるのが大変になってくるかもしれません。どういう暮らし方が自然にも人にもやさしいのか、考えていく必要があります。

 

 

 

 

Q どんなものが水を汚すのですか?

 

 

A 人が食べておいしいものと油です。

 

 

ジュースの飲み残しやお酒などは、少量でも水を汚します。例えばお酒は、そのままでは10万ppm(ppmは100万分のいくつかという数値。「1ppm」が「0.0001%」)もあるのですが、飲んでおしっこになると7000~8000ppmに減るそう。そのまま捨てるより、飲んだ方が環境にいいのですね。

 

油は下水管を詰まらせる原因になるだけでなく、汚れがついて腐ると有毒ガスも発生させてしまいます。使い終わった油は古布などに含ませて、ごみ箱へ、がベストですね。

 

 

飲み残しはせず、空の容器はサッと洗ってリサイクルに。ジュースやお酒は川に流したら大変ですが、下水道に流せばきれいに処理できます。

 わたしたちの街の下にはこんなに大きな下水管が埋まっています!

Q 下水をきれいにする微生物って何ですか?

 

A 水の中の汚れを食べてくれる、目には見えない生き物です。

 

 

下水処理場では、大きなごみを沈ませて取り除いた後、微生物を混ぜて空気を入れてかき混ぜることで、微生物がすごく小さな汚れを食べてくれます。おなか一杯食べて重くなった微生物は水の底に沈んで、きれいな水ができあがり、また川へと流されます。沈んだ汚泥は燃やされて灰になり、セメントなどの原料になります。

 活性汚泥で水をきれいにしています。

 処理を終えてきれいになった水は荒川に流され、太平洋へとつながっていきます。

 

微生物はもともと、土の中や池の中にいる生き物で、下水処理施設の中にも様々な種類がいます。

 

 クマムシくんと一緒に♬

 

埼玉の下水道マスコットになっている「クマムシ」くんは、微生物界の食物連鎖の頂点にいる生き物(一番強い)で、クマムシが生息する施設は良い状態を保っているということでもあるのだそう。そんな最強生物が、私たちの水環境を守っているのですね。

 

最後にスタッフと記念撮影しました。